「布良海岸」という詩 (高田敏子)

ずっと昔、まだ高校生の夏休みが終わるころ。
深夜放送だったと思う。
詩の朗読があって、その詩はうろ覚えだったが、なぜか印象に残り、
「夏の終わりの海で一人で泳いで、切り通しの道を帰りながら、私の夏が終わった」
という内容だった。
海岸の名は「めら」
まだ、インターネットもグーグルもない時代。
誰の詩なのか?
どこにある海岸なのか?
ずっと引っかかったままだった。
その後インターネットの時代になって、この詩は、高田敏子の「布良海岸」だと知った。
この詩は詩集「藤」に収録されていることもわかった。
この夏。
長いこと詩集なんて読むことがなかったが、
残念ながら図書館にその詩集はなく、
代わりに「高田敏子全詩集」を借りた。

私もこの夏の終わりに「布良海岸」に行こうと思う。
その「切り通し」で、作者は何を私に語りかけるだろうか。
高田敏子 略年譜
1914(大正3)東京日本橋の陶器卸店の次女として生まれる
1923 関東大震災
1934 結婚 20歳
夫の仕事の関係でハルビン、台湾、嘉儀に疎開
1946 引揚
1958 脊髄腫瘍で入院
1960~1963 朝日新聞で日曜日の詩集掲載
1966 詩誌「野火」創刊
1967(昭和42)詩集「藤」昭森社から出版 53歳
題字は篠田桃紅
「布良海岸」収録 室生犀星詩人賞
1976(昭和51)詩集「むらさきの花」 協議離婚 62歳
1989 胃がんで死去 75歳

藤―高田敏子詩集 (1984年) (現代女流自選詩集叢書〈9〉) - 高田 敏子
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