布良海岸の神話と安房神社の洞窟遺跡 (2022 相模・安房 黒潮紀行)

布良海岸のそばには、標高は低いが特徴的な2つの小山がある。

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布良海岸は阿由戸の浜といい、アメノトミノミコトが阿波国から上陸して、
その後、安房の国を開拓したという伝説の地と言われている。

男神山はアメノトミノミコトの祖先であるアメノフトタマノミコトで、
女神山はその妃であるアメノヒロトメノミコトを祀る。
まあ、神話世界の登場人物名はややこしいので深く追求しない。(後世の人がそう名づけているだけである。)


海岸から見た、男神山と女神山はツインピークスで、いかにも古墳のようでもある。

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阿波あたりに住んでいた一族が黒潮に乗り、新天地を求めて、まずたどり着いたのが、布良海岸であるというのは十分考えられる。

だれでも長い船旅に疲れ、海上から見たとき、人影のないこじんまりした白砂の入り江と、目印になる優しい形のツインピークスが見えれば、上陸したくなる。(こう思うのは私の遺伝子にも海洋民族の血があるからかもしれない。)

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ということで、阿波から黒潮に乗ってきた忌部一族は、ここを新天地のベースキャンプにしたわけだ。



さきに案内していただいた小谷さんの話によると、
安房神社に古代人の遺跡があるというので、これを見ないわけにはいけない。

安房神社は、安房の国一之宮として由緒ある神社である。
布良海岸から、1kmほど北の開けた平地の北向き山裾にある。

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これが本社(上の宮)で、祭神はアメノフトタマノミコトである。
(アメノフトタマノミコトはアメノトミノミコトの祖先神)
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こちらが摂社(下の宮)で、主祭神はアメノトミノミコトである。
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お参りしてから、例の洞窟遺跡を探してみるが、どうもよくわからない。
仕方なしに社務所で訪ねると、建物の裏手にあって、崖が崩れたりするので注意してください。
などとあまり見学するに歓迎した雰囲気でない。


ようよう探したのがこれ。
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解説板によると、

昭和7年に井戸工事の際に地下1mのところで洞窟が見つかった。
人骨22体、貝製腕輪193個、縄文土器、古墳時代の土師器などが出土した。
人骨15体には健康な歯を抜く風習、抜歯の痕跡があった。
洞窟は現在は地下に埋まっている。

その後2008年の再調査で洞窟は延長22m、幅3.5mの規模であるとわかった。


止め柵の内側に、洞窟の上部かと思える窪みがあった。
この下あたりに、古代人が暮らしたのか、あるいは共同埋葬した墓地のような洞窟があったのかと思い、心の中で拝んでおいた。

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たぶん、黒潮に乗ってこの地へやってきた古代人の共同墓地であった可能性は高い。
出土品に貝製腕輪が多数あることがそれを物語っている。
いろいろな年代の出土品があるのは、長く重層的に墓地として使用されたのだろう。

布良海岸に上陸した一族の地神であったのがアメノトミノミコトで、
古来、彼らの聖地だったこの場所に、のちの中央権力(アメノフトタマノミコト)が祀られたのだと思う。



神社から集落の方向を眺め、この地の長い歴史を思いながら神社を後にした。

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