諏訪大社上社前宮 (2022 諏訪縄文紀行 4) 

諏訪大社上社前宮は、諏訪大社の中でも、もっとも縄文の気配を残している場所だと思う。
それは、諏訪大社の大祝(おおほうり)すなわち生神(いきがみ)が居を構え、諏訪信仰発祥の地と伝えられているからだ。

神社の入口に立つと、多くの他の神社と風景が違うことがわかる。
参道は斜面になっていて階段は右側に申し訳程度についている。

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黄葉した木々から光が差し込み、その中を枯葉を踏みしめて参道を登ると、
山の精霊たちに会いに行く気がする。



ここはもうすでに「神原」(こうばら)と呼ばれる聖域、すなわち生神である「大祝」(おおほうり)の屋敷内である。

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鳥居の向こうに見えるのが「内御玉殿」(うちみたまでん)であり、神事に当たってはここから大祝が登場した。

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内御玉殿のそばにあるのが「十間廊」で、ここで政と神事の宴が行われた。

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例の三月酉の祭り「御頭祭」では、75頭の鹿の首が並べられたところである。

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神原は大祝の屋敷であり多種の神事が行われたことになっているが、その痕跡をとどめる建造物はこの2つくらいである。
「御室社」や「鶏冠社」など重要な神事が行われた場所には小さな社が残っているのみである。


「御室社」は、半地下式の土室に、大祝や神長官がミシャクジとともに旧暦12月22日から3月中旬虎の日まで、冬ごもりして、秘儀の神事を行ったという非常に興味深い場所であるが、その痕跡はわからない。


御室社からしばらく上ったところに、本殿があるが、ご神体がここにあるような感じでなく、数々の精霊(ミシャクジ)やその背後の守屋山の拝殿のような気がする。
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諏訪大社の神紋は梶の葉である。梶はカジノキ。クワ科コウゾ属 神木で樹皮から繊維を取る。
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四隅には御柱が立っている。
諏訪大社というと御柱が有名であるが、御柱祭の勇壮な映像が先行してしまって、その本当の意味についてはよくわからない。
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結界のようなもの、天と地上を繋ぐもの、自然界の気を集めるアンテナのようなもの。そういう感じがする。


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本殿の横には、「水眼の清流」(すいがん)というモレアの聖地 守屋山から流れ出る大量の水が勢いよく流れている。
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モレヤの古代から同じように、営々と流れているのだと思いを巡らし、清流のそばにしばらく佇む。
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遠く八ヶ岳が見える。これもモレアと同じ時代の風景だ。
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「水眼の清流」沿って下っていくと、参道とは違う集落道に迷い込む。
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古代の集落もこの清流に沿ってあったのだと思い下っていくと、曰くありげな老木に出会う。
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案の定、根元に小さな祠があり「柏手社」という。
ここは大祝の即位式での重要な場所であったようだ。
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神原の入口まで戻ってくると、ここにも小さな祠と、その向こうに埋まりかけた小さな池が残されている。
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ここは「溝上社」といいい、狩りへ出かける前のみそぎの場所であった。
しかし残念ながら、そのみそぎの池も見る影もなく泥池となってしまっている。
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古代からの記憶が断片的に残されている。
それを気付く人はもはや少ないだろう。





だが、木々が色めくこの晩秋の日と同じころになるたび、また私は、モレアの聖地に来たことを思い出すだろう。


















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